ギーグ・メモリーズ 1
・・・此処は何処だろうか。
真っ暗で何も見えない。
・・・暫くすると、一筋の光が見える。
そこへ向かうと・・・
炎に包まれ、ゴォッと大きく音を立てながら燃えてゆく家。
瓦礫と化してゆくその中心に、一人の少年がいる。
そして、黒く染まってゆく空に向かい、
「ぅぅぅ・・・アアアアァァアアァァァァァ!!」
と、雄叫びを上げる。
・・・見たことがある。
・・・覚えている。
そう。
昔の俺だ。
その時、視界がふっと途切れた。
「朝・・・か。」
そう言いながら俺は起きる。
いつもの朝、普通の奴等なら、「今日も一日頑張ろう」と思うだろうが、
俺は気分が晴れないままだった。
俺の名前は「ギーグ・デュランダル」。
この「レギオンズ∑」の、一番隊隊長だ。
「はぁ・・・またいつものコレか。」
俺はふっとため息を漏らす。
ここ最近、いつもこの夢を見る。
何故なのだろうか・・・
と、物思いにふけっていたその時、
「ギーグー、居るかー?」
聞きなれた声が聞こえた。俺は、
「居ない」と答えた。といっても、声が聞こえる時点でバレるが。
「声がするんなら居るだろ。つまらんことすな。」
と、言いながら入ってきた。
彼の名は「キルビァ」
レギオンズ∑、第11番隊隊長だ。
∑設立時から居る、同期のメンバーだ。
「9:30から、隊長メンバーでの会議がある。遅れるなよ。」
そう言い残し、彼は去っていった。
俺はふと時計を見る。「9:00」
「・・・まだ間に合うかな」
俺はゆっくりとベッドから這い出し、着替えを済ませ、会議室へと向かう。
やはり憂鬱な気分だ。
だらだらと歩きながら、食堂へ向かう。
「あ、ギーグさんですか。ご注文・・・は、わかってます、いつものアレですね・・・」
そして暫くして、料理が運ばれてきた。
「・・・これは?」
「スイマセン、調味料切らしてまして・・・普通のチャーハンです・・・」
「・・・まぁいいさ。普通のも好きだし。お疲れ。」
そう言いながら、俺はそれを平らげ、足早に出ていく。
「9:18分か・・・急げば間に合うかな」
そうつぶやきながら、俺は目的地、ギルドの屋上、会議室へと向かった。
今日もいつもの日常が始まる・・・