東方好きの隠れ家

暇な時には小説書いたりいろいろやってます。「レギオンズ」というサークルのメンバーです。

ギーグ・メモリーズ 3

「さて、行こうかな」

俺は目的地へ向かうため、自室を出る。

するとそこに・・・

 

「お早う御座います!ギーグさん!」

「またお前か・・・いい加減隊長と呼べ隊長と・・・」

「・・・!スイマセン!ギーグさん!」

「・・・」

 

目の前に一人の少女が居た。

彼女の名は「アナ・チェーダ」。

 

一番隊所属の治癒師(ヒーラー)だ。

何かと俺にひっついてくる。何故だ。

彼女は、実は俺と少し関わりがある。

 

彼女は孤児だった。そこを俺が拾ってきた。

つい一年位前のことだ。

意外にも彼女には優れた資質があるのだが・・・

「今日も命の恩人のギーグさんに敬礼っ!」

 

・・・この調子である。

昔助けたときは、誰にも心を開かず、一人でいたのに・・・

今ではこれが彼女の元々の姿なのだろう。

素直で思いやりのある団員になった。

 

・・・多分拾った理由は、彼女が孤児の時と昔の俺が似ていたからなのだろう・・・

 

「何ぼーっとしてるんです?」

「・・・何でもない」

 

調子狂うな。なんか。

「あ、そうだ!ご飯食べましょう、ご飯!食べれば気分晴れますよ!多分!」

「もう食った」

「え、もうお昼食べました?」

「くっt・・・は?」

「もうお昼ですよ」

「・・・え」

「じゃ、食べに行きましょう!」

 

俺は彼女に手を引かれながら食堂へ連れて行かれた。

 

「いただきまーす!」

「・・・いただきます」

うまそうに食うなぁ、全く。

「どうかしましたー?」

俺の顔を彼女が覗き込んだ。

「・・・何でもない。ご馳走様。」

 

俺は目的地へと向かおうとする。

 

「!待ってくださいよぅ〜」

「ついてくんなよ」

「えぇ〜・・・」

 

 

 

帰らずの丘

 

 

「えへへ〜」

「・・・はぁ」

 

結局ついてきやがった・・・

「なんでついて来た・・・」

「私もギーグさんの恩人様に会いたいからです」

 

帰らずの丘というのは、

文字どうり入ったものが帰ってこなくなるという伝説がある。

決まったルートを進めば問題はないが・・・

 

「・・・薄暗くて不気味ですぅ・・・」

「これぐらい大丈夫だろ」

 

この丘は、丘というより樹海に等しいので、陽の光が当たらないのだ。

 

「・・・着いたぞ」

「・・・うわぁぁぁぁ!凄い!いい眺め!」

「・・・あれだ、あそこにある」

 

と言いながら俺は丘の中央、てっぺんあたりを指差す。

 

「あれですか・・・じゃあ行きましょう!」

「ああ」

 

 

「アトランタル、此処に眠る」

そう書かれただけの墓標に手を合わせる。

 

「お師匠・・・久しぶり」

「初めまして・・・アナです」

穴はいつから持っていたのか、花束を供える。

 

「・・・いつから持ってたんだよ」

「最初からですよ。お供えするために持ってきました」

 

「・・・そうか・・・有難う・・・」

「いえいえ・・・ギーグさんもギーグさんのお師匠様も喜んでいただけるかと思って」

 

「そうか・・・じゃあ、帰るとするか。」

「はい」

 

俺たちはギルドへ向かう。

 

「お帰り。だが任務だ」

だが断る

 

戻ったらキルがいた。

「デートの所悪いけど、行くぞ」

「デートじゃねぇから」

 

「あれれ、いってらっしゃいですー、ギーグさんー!」

 

「だいぶ気に入られてるな」

「・・・はぁ」

 

任務というのは、街に強盗団みたいなのが来たらしい。

そこで、ギルド員を派遣したらしい。

 

「それが俺たちかよ」

「そうなるなぁ」

 

派遣されたのは俺とキルだった。

何でも隊長クラスじゃないとダメだとか。

 

「はぁ、面倒だな」

 

「そう言うな、終わったら開放してやるから。報酬山分けな」

「よし乗った」

「・・・報酬に目、ないなギーグ・・・」

「仕事ですから」

キルが走らせた車は、街の前で止まった。

ここからは徒歩だ。

 

「あっはっは、そーかそーか、じゃあ行っちゃおうかな!」

キルが逆ナンされてた。

「仕事じゃなかったのか・・・?」

「分かってる分かってるだから引っ張んないで引っ張んないでやだー!」

「・・・うへぇ」

 

 

目的地に着くまで一苦労だ・・・。